年換算で240時間の業務工数を削減可能に!柏崎市様のChatGPT活用方法とは?

クライアント
柏崎市様
担当者
阿部洋和様 外山瞭平様
業界
自治体
部署
総合企画部企画政策課
柏崎市様

新潟県柏崎市について

面積:442.03km²

人口:77,753人(令和5年9月30日時点)

柏崎市は、新潟県のほぼ中央に位置し、日本海に面した人口約8万人弱の地方都市です。民謡「三階節」で名高い霊峰米山を始め、黒姫山・八石山の刈羽三山を有し、福浦八景や砂丘地など42㎞の海岸線の中には15の海水浴場が連なります。国指定・重要無形民俗文化財「綾子舞」が伝わる鵜川、棚田やかやぶき環状集落で知られる高柳、日本書紀に「燃ゆる水」が朝廷に献上されたと記録される西山など、恵まれた自然や景観・伝統文化・歴史に育まれたまちであります。引用元

今回柏崎市の総合企画部企画政策課 情報統計係長である阿部洋和様、主事である外山瞭平様に、ChatGPTを庁内で安全に使える「Crew」の実証実験の背景や効果、ご感想についてお話をお伺いしました。

庁内業務を効率化し、生み出された時間を人にしかできない行政サービスに振り向けたい

------よろしくお願いします。早速ですが、Crewの実証実験を実施された背景を教えてください。

2023年の春頃に全国の自治体様でChatGPTを業務に活用していくという報道が流れるようになり、当市でも庁内業務の省力化に向けてChatGPT等の生成AIサービスの導入を検討していました。そして庁内業務を効率化し、そこから生み出される時間を、人にしかできない行政サービスに振り向けたいとも思っており、有効な活用方法を検討しつつ、サービスのリスクや実現可能性を具体的に精査する必要性があると考えていました。このような背景を踏まえ、当市では生成AIの業務での活用に向けた実証実験を実施することになりました。

------様々な自治体向けChatGPTがある中で、Crewに決定された理由を教えてください。

様々なサービスの情報を収集していましたが、組織内の資料を活用した生成AIサービスは、他の既存サービスでは提供が限られているため、今回Crewを選定しました。庁内業務の効率化を考える上では、やはり市独自の書類に基づいた生成AIの利用が重要ですので、当市が持つ書類からどれくらいの精度で回答が生成されるか試行してみたいと思いました。

また個人情報の警告など、職員任せにならない機能が充実している点も魅力に感じました。たとえガイドラインを作成し個人情報の入力を制限しても、最終的なツールの操作は職員に依存しますので、その辺りを制御できる点も便利だと思い実証実験の実施を決定しました。

複雑な分厚い資料でも精度の高い回答結果。プロンプトテンプレートも活用。

------Crewをどのようにご活用いただきましたか?

Crewの担当者様との打ち合わせの中で、特に庁内の資料を読み込ませて回答を生成できる機能に魅力を感じたため、今回は庁内の資料を元にして、新しい文書の起案や条例・規則に基づいたQ&Aの生成等に焦点を当て、評価・検証を行いました。

------ありがとうございます。具体的にはどのような書類をアップロードしてご利用いただきましたか?

例えば国が出しているシステムの標準化に関する基本方針資料をアップロードし、外部へ説明をするための文案作成をCrewに依頼しました。自治体では分厚い資料をよく扱い、重要な点を絞って市民の皆様に説明する機会が多いため、実際の業務を想定した上で、Crewがどれだけ精度よく要点がまとまった文章を生成してくれるか試行してみました。

------実際にどのような質問をされましたか。

Crewに実装されているプロンプトのテンプレートを活用し、【以下の制約条件をもとに、[100文字前後]で[自治体が標準化を進める理由]に要約してください。#制約条件・・・】と質問した結果、「地方公共団体が標準化を進める理由は以下の通りです。令和8年度以降のシステム改修時に標準に適合することが求めらている。また、標準化対象事務の運用経費を3割削減するため・・・」と期待通りに要点をピックアップした文章をCrewが生成してくれました。出力された文章をたたき台として、職員の手で微修正を施せば十分外部向けの説明文に使用できると思います。Crewにはプロンプトを補完するテンプレート機能が備わっており、より具体的な回答を引き出すための質問や制約条件などを自動でセットしてくれるので、プロンプトに不慣れな職員であっても精度の高い回答が引き出せるように設計されているのが魅力的でした。

市民への説明文作成業務が効率化。年換算で約240時間の削減が可能に。

------Crewを導入してからの効果はいかがでしょうか?

先程のシステムの標準化に関する資料に関して言うと、人力で一から文書を作成する場合恐らく1時間程度はかかると思います。それがCrewだと要点を整理して回答を生成してくれるので、職員による修正を考慮しても30分程に省力化できました。また、市のホームページなどで市民の皆様にこのような文書の内容を説明する業務は、最低でも月に40回程度は発生します。仮にCrewがその作業をすべて省力化してくれるとなると、月の合計で約20時間、年換算で約240時間分の削減が見込めると考えています。

------年換算で240時間!かなりの業務効率化が見込めますね。他にも削減した時間はありますか?

同じくシステムの標準化に関する資料で、自治体が標準化を進めるための手順をCrewに参照させました。書類にはかなり膨大に手順が書かれているため、その中でどの要素が特に重要なのか、人間が一つずつ当たりを付けていくのはかなり時間がかかります。

そこでCrewを通じて回答の生成を試した結果、概ね適切な回答が出力されました。職員が資料を一から読み込んで解釈し、他の職員に向けた文面を作成するとなると3時間程度はかかりそうですが、Crewが生成した文章に職員が都度肉付けをする程度で作業が完了したので、先ほどの3時間が1時間程度にまで圧縮できると思います。

------ありがとうございます。その時はどのような質問をCrewに投げかけましたか?

こちらもプロンプトテンプレート機能を活用し、【以下の制約条件をもとに、標準化のために令和7年度までに実施すべきことをリストアップし解説を加えてください。#制約条件・・・】と質問しました。回答としては「以下は令和7年度までに実施すべき内容についてのリストです。1.仕様書の改定への対応・・・」と合計5段階のステップで手順を整理しくれました。また、Crewでは回答を出力する際にどの書類のどの部分を参照してきたのか、ハイライト形式で表示する機能があり、これは非常に便利でした。たとえAIが文章を作成してくれても、最終的には人間による確認が必要ですので、生成された情報の整合性を精査するために必須の機能だと感じました。

旅費規定の複雑さを克服。効率的な回答生成で確認工数を3分の1に削減。

------他にもどのような利活用の用途があると思いますか?

当市職員の旅費の運用規定に関するマニュアルを読み込ませ、各シチュエーションに応じた旅費の規定についてCrewで確認しました。もともとQ&A形式でまとまっている資料ではありましたが、出発地や出張距離、或いは移動する交通手段などに応じて規定が変わってくるため、中々単純に回答を見つけられるものではなく都度調べる必要があります。そこで、例えばCrewに【柏崎市役所から○○市役所まで電車で出張した場合、旅費は支給されますか。】と質問したところ、【鉄道で移動した場合は・・・、同一地域内を移動する場合は・・・、同一地域外へ移動する場合は・・・、○○市は同一地域外のため、鉄道で移動した場合・・・が支給されます。】と複数の条件を考慮した上で回答を生成してくれました。逐一PDFファイルを開いて該当の箇所を探しにいかなくても、Crewが条件を踏まえて回答してくれるため、従来比で3分の1程度には確認の工数が削減できると感じました。また出張はどの部署でも発生し得るので、全庁レベルでの業務工数削減が見込めると思います。

------ありがとうございます。ここまでは良い事例を聞いておりましたが、一方でうまくいかなかった使い方などもあれば教えていただきたいです。

プロンプトテンプレート機能があるのは有難かったのですが、逆にテンプレートを使用せず抽象的な質問をすると、やはり回答も抽象度の高い回答が返ってくるので、ここの工夫は必要だと思います。

また、ファイルごとに回答精度の相性はあると感じました。先ほどお話した標準化に関する資料や旅費の運用規定はしっかりテキストでまとまっているものでしたが、テキスト以外のデータが混在していると期待通りの回答が生成されず、業務効率化の見込みが薄いシチュエーションもありましたので、どのようなファイルからでも標準的に回答できるようになると嬉しいですね。

------今後の改善要望はありますでしょうか?

ユーザー側でプロンプトのテンプレートを追加できる機能があるとより便利になると感じました。

各課ごとに業務内容は異なりますので、例えば商業観光課がキャッチコピーを考える際のテンプレートや、市民課がアンケートを作成する際のテンプレートなど、その課の仕事に適したプロンプトを自由に追加できるとより利用用途が拡張できると思います。こちらの機能は今後実装予定とお聞きしているので、是非試行してみたいですね。

また、今後は組織単位だけでなく、ユーザーごとにCrewの利用状況を把握できるようになることを期待しています。積極的に活用している人がいればその人にフォーカスして使い方を皆で学ぶことも可能ですし、逆に使用頻度が少ない職員がいれば、利用状況を確認して適宜他の職員に利用枠を譲渡するなど、よりコストパフォーマンスの良い使い方が実現できると考えています。

------いただいたご要望を踏まえ、さらなる改善をしていきたいと考えています。お時間いただき、誠にありがとうございました!

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