京都府京丹後市について
面積:501.84km²
人口:51,095人(令和5年11月30日時点)
京丹後市は、京都府北部丹後半島に位置し、東西約35km、南北約30kmの広がりを持つ、海・山・里に恵まれた地域です。沿岸部を中心に丹後天橋立大江山国定公園、山陰海岸国立公園に指定されており、山陰海岸ジオパークとして世界ジオパークネットワークにも加盟しています。また、府内最古の温泉とともに府内一の源泉数に恵まれるなど天然温泉が豊富で、「丹後米」「間人ガニ」「京野菜」「京たんご梨」などの農林水産物にも恵まれた地域です。
同市はアンケートで78%の職員様がCrewを通じて業務の効率が上がると回答し、また64%の職員様から生成AIの導入は同市にとって今後必要であるとご意見をいただきました。
今回、京丹後市・若手職員政策提言プロジェクトメンバーの皆様に、ChatGPTを庁内で安全に使える「Crew」の実証実験の背景や効果、ご感想についてお話をお伺いしました。
京丹後市では、これまで市民サービスの向上及び行政におけるデジタル化を推進するためDX戦略を策定し、業務効率の向上のためRPAやAI-OCR等の先端技術を積極的に活用してきました。また若手職員の担当部局の枠を超えた柔軟な発想、斬新なアイデアを市政運営やまちづくりに活かすため、令和3年度から「若手職員政策提言プロジェクト」を実施しており、生成AIの活用策についても若手職員チームを中心として検討していました。その中で「生成AIをこんな業務に使いたい」という具体的な活用イメージを得るには、やはり実際にサービスを試行して今後の検討材料にしていくのが最適だと考え、実証実験を実施することになりました。ちょうど実施するタイミングで記者発表が開催され、そこでCrewのデモンストレーションなども行いましたが、記者様の反応も概ね良かったですね。
------ありがとうございます。様々な自治体向けChatGPTがある中で、Crewに決定された理由を教えてください。
既存のサービスでは提供が限られている、Crewの組織内のドキュメントを活用した生成機能に興味を持ち、選定させていただく運びになりました。最初のお打ち合わせの中でデモ画面をご紹介いただき、庁内のQ&A集からの回答生成などの利用イメージが湧きましたね。その他にも各ユーザーがどんな会話をしているのか、管理画面から利用ログを確認できる点や、個人情報の入力に関して画面上で警告が出る機能も良かったと思います。
また、これはCrewを決めた理由とは少し逸れますが、こちらから『ユーザーコミュニティがあると良い』という要望を出させていただいた後、実際にCrewを使用されている他の自治体様との交流会を開催いただき、生成AIに関しての状況や課題を知れる機会をいただきました。実際に他自治体様の生成AIの活用事例を聞ける機会は多くないので、今後もCrewを通じた横のつながりが広がり、例えばコミュニティ内で書類チャネルのプロンプトの活用事例などの情報が共有されたりするとかなり参考になると思います。
------今後ユーザーコミュニティをさらに発展させていきます!それではCrewをどのようにご活用いただきましたか?
今回の実証実験では、庁内の書類からの回答を通じて生成サービスの利便性を精査することを目的としていたため、庁内向けの文書作成や要約・校正、広報等住民向け文書案の作成や庁内マニュアル等を用いたFAQ作成などに利用いたしました。また庁内での有用性を幅広く検証したかったため、合計で30課にアカウントを付与しご利用しました。実証実験を開始するタイミングでは操作体験会なども開き、Crewがどんな業務に使えそうか試行錯誤をしていきました。
------30課も!これまでのCrewの実証実験で最高記録ですね(笑)。実際にはどのような書類をアップロードしてご利用いただきましたか?
一例として当市の議会の会議録をアップしたチャネルでは【各議員の質問ポイントを5個ずつあげてください】という質問をし、回答としては【○○議長の質問ポイント:1.調査研究を進める中で愛好者の意見を聞くことを検討していく。2.予算としては5年度には計上しておらず、内部での調査や研究を進める予定。3.・・・・、○○議員の質問ポイント:1.愛好者についての聞き取りを進めながら、内部で検討していく・・・・】という具合に議会での発言者ごとに要点を出力してくれました。議会答弁書を作成する前段階で、過去のある特定のイシューに対してどのような議論が成されたのか要約・整理するニーズはどの課でも少なからずありますので、幅広く庁内での展開が見込めると思います。内容やボリュームにもよりますが、議会録の要約や要点整理に従来で1時間程度かかっていたところを、Crewに代替させると半分くらいに削減できると思います。また、会議録自体は発言内容が口語で記載されていましたが、Crewではきちんと文章に変換して回答を返してきたのが良い驚きでしたね。
------まさに自治体様特有の業務の効率化にも貢献できそうですね。他にはどのようにご利用いただきましたか?
他には当市の電子決裁の操作マニュアルを読み込ませ、回答が正しく出力されるか試行しました。例えば表形式のマニュアルに対し【以下の質問の答えを「#施行による各課等からの意見等について」教えてください・供覧時の操作改善についての総務課の回答内容を教えて】と質問したところ、【・供覧時の操作改善についての総務課の回答内容は、「操作の慣れの問題かと思われますので、マニュアルに追記します。また、・・・・」】と正しい回答が返ってきました。表形式であっても文章としてまとまっていれば読み取り精度は悪くなく、このような情報の照会業務でも庁内展開が検討できそうです。一方でスクリーンショットが多く挿入されているマニュアルの読み取り精度はまだ高くなかったので、今後の改善に期待したいですね。
------ありがとうございます。書類チャネル以外に、テキストチャネルではどのようにお試しされましたか?
テキストチャネルですと、政策提言をする際の提言タイトルを考える際、これまではゼロベースで考案していたものを、Crewにタイトル案をいくつか出力させてみました。実際に出力された回答を組み合わせてタイトルを決定できたので、既存の業務に落とし込むことができましたね。感覚としては、人力で1からアイデアを考えるよりも3分の1程度業務工数を削減できたと思います。
後は外部向けの広報記事を作成補助としても利用させていただきました。言葉遣いや文章の流れの校正でCrewに都度質問させていただき、1から作成するとなると記事の完成まで2・3時間程度かかる所を、Crewを使用することで30分程度業務時間を削減できました。
------実際にCrewを試行された職員様の反応はいかがでしたか?
Crewを利用した職員にアンケートを実施し、「crewは業務の効率化につながったと思うか。」と確認した結果、職員の78%が「仕事の効率は上がると思う」と回答しました。実は今回の実証実験で生成AIサービスを初めて使用する職員が全体の6割以上を占めていたのですが、それでも約8割のメンバーが自身の業務効率化が見込めると認識出来たのは良かったですね。また、「ChatGPTなどの生成AIの導入は、京丹後市にとって今後必要だと考えますか?」と尋ねた所、64%の職員が「必要」と回答しました。もちろん業務内容によって必要度は異なりますが、Crewの実証実験を通じて多くの職員が生成AIの有用性を実感できたと考えています。また今回の実証結果を踏まえつつ、今後は庁内向けの利活用以外に、市民サービスの向上を目的とした外部向けの生成AIサービスも検討していきたいと思っています。
------ありがとうございます。ここまでは良い事例を聞いておりましたが、一方でうまくいかなかった使い方などもあれば教えていただきたいです。
全体的に、Crewを試すまでは良かったのですが、その後どのように継続的に使ってもらうのかが課題に感じました。庁内で操作体験会などを実施し「まずはやってみよう。」という雰囲気の醸成は出来たと思いますが、その後の個別フォローが上手くできておらず、数回試して想定していた通りの回答が出力されずに離脱してしまう職員もいました。恐らく生成AIに対する期待値にギャップがあったのが要因だと思いますので、まずはそこのすり合わせと、離脱してしまった職員を救い上げるような仕組みの構築が今後重要になってきます。この辺りは是非Crewのユーザーコミュニティで継続的に情報交換ができたら嬉しいです。
後は複数のドキュメントを一つのチャネルにアップすると、どうしても回答の精度が下がってしまうので、チャネルにどこまで書類をアップロードするかも考える必要がありますね。
------今後の改善要望はありますでしょうか?
先ほどの利用を浸透させる観点だと、やはりプロンプトに慣れることが重要だと思いますが、その点でCrewに備わっているプロンプトテンプレートがより業務に近いものだと有難いです。職員のリテラシーにはばらつきがありますので、あまりシステムに慣れてない人でも簡単に利用できるよう、プロンプトに馴染みがあると利用頻度も上がっていくと考えています。今後はテンプレートを管理者が自由に追加できる機能も実装予定と伺っていますので、是非試してみたいですね。
また、書類から回答を生成できるのは確かに便利ですが、今後は書類のデータとChatGPTの学習データを組み合わせた回答が生成できると、より活用の幅が広がっていくと思います。書類からのみだと庁内マニュアルや規則の確認などに用途が限定されるため、物足りなさを感じることもありました。今後当市のデータとChatGPTのデータをミックスさせ、例えば市のガイドラインを参照した上で、ChatGPTの学習データにある他自治体様との差分を精査できたりするとより利便性が上がると思います。
------いただいたご要望を踏まえ、さらなる改善をしていきたいと考えています。お時間いただき、誠にありがとうございました!