業務工数を75%削減!4分の1程度まで圧縮!善通寺市様のChatGPT活用方法とは

クライアント
善通寺市様
担当者
大喜多康彦様
業界
自治体
部署
総務部デジタル推進課
善通寺市様

香川県善通寺市について

面積:39.93km²

人口:30,448人(令和5年10月1日時点)

香川県善通寺市は南に大麻山、西に五岳山がそびえ、東と北に讃岐平野が広がっています。瀬戸内海気候のため、温かく資源に恵まれ、災害も少なく過ごしやすい地域です。市街地は市のほぼ中央部を総本山善通寺からの広がりをもって形成されており、中心部には公共機関などが多く立地する独特な構成をしています。

今回善通寺市の総務部デジタル推進課 係長である大喜多康彦様に、ChatGPTを庁内で安全に使える「Crew」の実証実験の背景や効果、ご感想についてお話をお伺いしました。

NHK様が取材に!善通寺市様が生成AIの活用に取り組む背景とは

------よろしくお願いします。早速ですが、先日は弊社メンバーが善通寺市様の市役所に訪問させていただき、誠にありがとうございました。

こちらこそお越しいただきありがとうございました。善通寺市でも、Crewの実証実験開始の旨を記者様との懇談会にて発表したところ、色々と質問を受けまして、その中でNHK様の取材が決定しました。生成AIが自治体でどう使われるのか、業界全体で強い関心があると感じています。その取材に同行いただき、実際にCrewを職員が使っている場面をご覧いただきましたね。

【参照リンク】

善通寺市がChatGPT活用し業務効率化を目指す実証実験

------仰る通り実際にCrewをお使いいただく場面を拝見でき、一層利用イメージが湧きました。それでは改めて、Crew実証実験の背景を教えていただけますか。

当市では、ChatGPTを始めとする生成AIサービスが業務の効率化に繋がることを期待していました。そのため必要に応じて活用すべきデジタル技術・サービスの一つとして認識する一方で、情報セキュリティに対する理解度や職員の業務に対する主体性が改めて問われる技術・サービスでもあると受け止めております。このため、活用に当たってはサービスの特徴を理解することが必要であると認識し、様々な生成AIサービスの検証を行っていたところ、Crewの営業の方から詳細を聞き興味を持ちました。

------様々な自治体向けChatGPTがある中で、Crewに決定された理由を教えてください。

業務活用に向けた実証実験を行うにあたっては、既存サービスでは提供の少ない、書類から回答を生成する機能に注目し、「Crew」を採用いたしました。

Crewは管理画面の機能なども充実しており、例えば個人情報が誤って送られた時にログで管理者側が閲覧できる点は便利だなと感じました。なお、この場合仮に誤って送ってしまったとしても、Crewで個人情報を検知してブロックしているので、管理側には見えますがOpenAIには送信されていません。既に自治体や金融機関に導入されていることもあり、セキュリティの基本機能が揃っていて良かったです。

希望申し込みをされた9課で利用。市独自のデータからAIが正しく回答

------Crewをどのようにご活用いただきましたか?

今回の実証実験では、組織内の書類を用いた生成サービスを活用し利便性を精査することを目的としていたため、Crewでは主に庁内文書を参考にした新たな文書の草案の作成や、当市独自の規則と条例に基づいたQ&Aの作成等に利用いたしました。

生成AIが話題になる中、実際に使ってみて本当に職務に使えるかどうかを試したかったので、事前に関連部署に打診しておき、実際に使いたいと利用申し込みをしてもらった9課にアカウントを発行しました。9課は、秘書広報課、政策課、総務課、デジタル推進課、会計課、税務課、社会福祉課、営業課、教育総務課です。

------市独自のデータからの回答生成を試行されたのですね。どのような書類をアップロードしてご利用いただきましたか?

ちょうど7月に庁内でセキュリティポリシーの改定があり、それを踏まえ職員にセキュリティポリシーについて分かりやすく説明する必要がありました。そこで試しに、市のセキュリティポリシーをアップロードし職員向けの案内文を作成してみました。

------実際にどのような質問をされましたか。

【善通寺市のセキュリティポリシーの基本方針について分かりやすく要約して】とCrewに質問したところ、「善通寺市のセキュリティポリシーの基本方針は、令和5年7月に策定されました。情報セキュリティ監査や自己点検の結果に基づき、必要に応じて見直されます。また、・・・」と要点を押さえた文章をCrewが出力してくれました。人間の目から見ても回答としては正しかったので、こちらをそのまま職員にご案内することができました。Crewに質問することで要点を効率的にピックアップすることができるので、職員が文案を作成する作業では特に有効だと思います。

半日(4時間)かかる作業が、Crewによって1時間程度に圧縮。

------Crewを導入してからの効果はいかがでしょうか?

先程のセキュリティポリシーの例で言うと、人力で文書を読み込み回答を作成する場合、約4時間はかかっていたと思います。それがCrewだとポイントを押さえて要約してくれたので、たった数分程度、職員の文面確認を含めすべての作業が1時間程度で完了しました。職員の中には文書作成が不慣れな方もいるので、それをCrewが補ってくれるのは非常に有難かったです。

この業務はスポット的にたまたま発生したもので、ルーチーンワークにない久しぶりの文書を確認する時は特に生成AIツールの利用は有効だと感じました。

------大幅な業務効率化ですね。他にはどのような書類をアップロードいただきましたか?

例えば他の自治体様のDX推進計画書を読み込ませ、当市の計画にも応用できそうなアイデアを参照させたりしました。文書自体は40ページもあり、内容もかなり詳細に作り込まれている資料で、どの要素が当市にも当てはまるのか悩んでいたところでした。人間が1つずつ参考となり得る箇所を探していくと、かなり大変だったかなと思います。

そこでCrewで回答の生成を試みた結果、生成された草案を元に担当者が肉付けをして1時間程度で作業が完了しました。もしCrewを使わなかったら3・4時間はかかりそうな作業だったので、業務工数を従来の4分の1程度にまで圧縮できました。

------ありがとうございます。その時はどのような質問をCrewに投げかけましたか?

【○○町のDX推進計画を参考に、善通寺市向けにDX推進計画の素案を作成してください】と質問しました。回答としては「善通寺市のDX推進計画の素案では、官民競争の推進、情報のデータ化、業務のICT化、・・・・などの取り組みを盛り込むことが考えられる」と他の自治体様の参考となり得る箇所をCrewが抜き出し、こちらをベースに担当者が適宜文言を付け足して文案を作成しました。職員が一から当たりを付けていくとかなり時間がかかる業務でしたが、Crewだと欲しい回答がすぐに返ってきて、すでに下地があるので肉付けもしやすかったです。

利用者の6割がCrewを「業務に活用可能」と評価

------今回9課とたくさんの課に導入いただきましたが、他の課ではどのように利用いただきましたでしょうか?

電子帳簿保存法に関する文書をアップロードし、会計課の担当者と中身について確認する上で利用しました。質問の仕方によっても変わってきますが、重要な規定について漏れなく抜き出してもらえる安心感がありました。今回の会計課のように初めて法律に触れる担当者にとって、Crewが文書の要約や当たりを付けてくれるのは良かったです。

------初めて職務に就く方のサポートになって良かったです。ここまでは書類でのユースケースを聞いておりましたが、シンプルにテキストのみの会話ですといかがでしたか?

Crewでは、書類とテキストチャネルがあり、私達はどちらも試しました。感覚としては、テキストの会話だとレスポンスも回答内容もChatGPTと遜色はないと思いました。

テキストチャネルの方ですと、例えば市のイベント来場者に対するアンケート回答のお礼文と、お礼品の当選者へ送る通知文の作成を行いました。こちらを試した職員に話を伺ったところ、実際の業務に利用できてかなり便利だったと回答を頂きました。

------実際に使っていただいて、職員さんの総合的な反応はいかがでしたでしょうか?

クラフターさんからいただいたアンケートを参考に、職員に向けてアンケートを実施いたしました。その結果、「Crewを業務に活用できそうか」という質問に対し、6割の職員が「活用できそう」と回答しました。期待も込めてという職員もいましたが、実際議員さんもChatGPTを使って一般質問を作成されたと聞くこともあり、受け手としての職員側も、こういうツールをちゃんと使いこなす必要はあると感じていることが大きいと思います。

------良いケースばかり聞いておりましたが、対してうまくいかなかった使い方などもあれば教えていただきたいです。

個人情報を検知してくれる機能はいいのですが、たまに公人(例:市長や議員)など個人情報でないメッセージにも反応してしまうことがありました。その場合はCrewによる置き換え処置をしなくていいので、そのまま送っていいよと職員に伝えました。もう少し日本の情報に詳しくなってくれると便利だなと思います。

また、回答の精度は書類によって得意不得意があると感じました。自分の手元ではいい回答が得られましたが、職員によっては地方自治体特有の言い回しがある文章も多く、そちらを理解できるような精度になってくれるとより幅広い業務で使えると考えています。

------今後の改善要望はありますでしょうか?

行政職員は条例・規則などを参考にしながら業務を行うことが多いので、複雑な条立てが施されている例規集などの回答精度の向上を期待しています。こちらの解読や要約は人間でも難しいのですが、その分精度が向上しAIに代替させられるようになると、庁内での活用用途がさらに増えていくのではないかと思っています。

また、先ほど述べたもの以外にもCrewに様々な書類を読ませようとしましたが、図や表が多いファイルについては事前にテキストに変換する工数が発生するので、図表もそのまま認識して回答を生成できるようになると、事前準備もほぼ不要なので一層便利になると思いました。

------複雑な文章や図表からでも精度の高い回答を生成できるよう、さらなる改善をしていきたいと考えています。お時間いただき、誠にありがとうございました!

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