行政×生成AIの導入事例と動向 ~自治体での生成AI活用をめぐる課題感と解決策~

November 7, 2024
目次

「行政×生成AIの導入事例と動向

    ~自治体での生成AI活用をめぐる課題感と解決策~」

沖縄県南城市の自治体生成AI活用導入背景と成果

こんにちは!クラフターです。

2021年7月11日(木)に『デジタル行政×GUGA共催セミナー第二回:福岡市と沖縄県南城市の先進事例から学ぶ、自治体生成AI活用における課題と今後の戦略』が開催され、弊社の加藤が登壇しました。

「行政×生成AIの導入事例と動向~自治体での生成AI活用をめぐる課題感と解決策~」というテーマのもと、沖縄県南城市 企画部 DX推進課 主任主事 城間 直也 氏へインタビューもさせていただきました。その内容の一部を公開いたします。

・イベントHP:https://www.digital-gyosei.com/post/2024-06-12-event-guga-ai/

・デジタル行政HP:https://www.digital-gyosei.com/

・GUGA HP:https://guga.or.jp/

・Crew HP:https://www.gocrew.jp/jp

登壇レポート

  • 株式会社クラフター 事業開発部  加藤 史也
  • 発表のトピックsome text
    • 会社紹介
    • ChatGPTとは
    • 自治体様から頂く課題と一般的な対策
    • 自治体様のCrew活用事例
    • 今後のサービスアップデート

今回の登壇では、主に自治体様に導入いただいた中で見えてきた課題を3つに分けて紹介し、現場レベル、管理者レベルでのそれぞれの対応方法を説明しました。

1. 業務情報漏洩のリスク

生成AI導入において、特に日本企業は業務情報の漏洩に対するリスクが大きく、慎重な姿勢を示しています。調査結果によると、日本では「利用禁止のため未導入」との回答が10.1.%を占め、他国と比較しても高い割合です。企業は機密情報の取り扱いに敏感であり、セキュリティ対策を厳格に行う必要性が強調されました。

情報漏洩に対する対応として、現場レベルでは、氏名・電話番号等の個人情報の入力を禁止することや、管理者レベルでは、ガイドラインを作成、情報の入力可能範囲・有事の際の対応方針を明文化する必要があります。

2. 生成AIの出力情報の信頼性

生成AIは「ハルシネーション」(もっともらしいが誤った情報の生成)を引き起こす可能性があり、出力された情報が正しいかどうかの判断が難しい場合があります。例として、ChatGPTが誤情報を生成するケースが示されました。

ユーザーは生成AIの提供する情報の信頼性を評価し、必要に応じて検証を行うことが重要です。現場レベルでは、生成された成果物のピアレビューの実施、解答参照元の確認が有効とされ、管理者レベルでは、ハルシネーションの可能性を周知しておくことが重要です。

3. 効果的なプロンプトの作成方法

多くのユーザーは、どのように質問すればよいか、効果的なプロンプトの作成方法が分からず、困難を感じています。現場レベルでは、プロンプトの知識や発想が不足しており、管理者レベルでもプロンプトの活用が浸透していないことが課題です。これにより、期待と実際の回答精度にギャップが生じ、ユーザーが離脱してしまうリスクがあります。

対応方法としては質問、回答精度が高い人のプロンプトを模倣することが現場レベルでの対策の一つとして挙げられます。

今後の開発における展望としては、自治体様からのご意見の一つでもある、スクリーンショット等複雑な画像の文字読み取り機能を中心として、会話の精度改善、より多くの生成AIモデルの追加を検討しており、将来的にはLGWAN対応、音声入力等の開発も進めていく考えです。

インタビュー

<ご登壇者様> 沖縄県南城市 企画部 DX推進課 主任主事 城間 直也 氏


ーー自己紹介をお願いいたします。
城間様:こんばんは。南城市DX推進課の城間と申します。よろしくお願いいたします。 昨年の4月から配属になり、現在はCrewを活用していて、管理と保守をしております。

ーーどのような問題意識のもと生成AIの活用を検討されましたか?

令和5年度の途中から検討を始め、生成AIの普及が全国的に進んでるのに合わせて、業務効率化に向けて導入を検討し始めました。自治体に特化しており、且つセキュリティ面に考慮されたもの、文書のアップロード機能などRAG機能があるものを仕様書に含めて選定を行いました。

ーー実際の導入に向けてどのように進められましたか?

まずは、各課のDX推進担当者に対して、「ChatGPTとは何なのか?」など生成AIの基本的な仕組みや利用方法について説明を行いました。これにより、各課が生成AIをどのように活用できるかの理解を深めてもらいました。その後、半年間の実証実験を試みました。その際にガイドラインを策定し、使用に向けて、ハルシネーションが生じる可能性、個人情報の入力などの注意喚起をし、導入しました。

ーー現在、生成AIはどのように活用されていますか?

よく使用される活用方法としては、挨拶文の作成にCrewを使用している声をよく聞きます。市役所は会議が多く、その中で挨拶文の作成として、職員の皆様に好評となっております。

ーーCrewの利用におけるメリットは何ですか?

改善点や要望に迅速に対応していただけることです。日々の進化と開発の進歩を実感しています。

ーー現在、直面している課題は何ですか?

現在の課題は、生成AIをまだ使っていただいていない職員がいる中でどうやってこういったITツールを使用していただくかです。また、利用促進のためのセミナーや研修が必要だと感じております。 

ーー今後についての構想を教えてください。

クラフター様の支援を受けながら、DX推進課として、まず我々が学んで、一般の職員に浸透させていきたいです。プロンプトの入力のテクニックなどで、回答が変わるなどありますので、テンプレートの活用なども含め、職員の皆様に共有していきたいです。

ーありがとうございました。今回のインタビューでは、南城市がどのようにして生成AIを導入し、どのような成果や課題に直面しているのかについて詳しくお話を伺いました。生成AIの導入は、今後の業務効率化において大きな可能性を秘めていることがわかります。